秋の酒売り場で「R7BY」「新酒」といった表記を見かけたら、それは酒の”生まれ年”の話です。ワインのヴィンテージほど有名ではありませんが、日本酒にも年度があります。知っていると、秋からの酒選びがぐっと立体的になります。
酒造年度(BY)とは
日本酒の世界では、毎年7月1日から翌年6月30日までを「酒造年度」と数えます。ラベルの「BY」は Brewery Year の略。「R7BY」なら令和7酒造年度に造られた酒、という意味です。
なぜ7月始まりなのか
酒造りの中心が冬だからです。秋に新米が届き、冬に仕込み、春に搾り終える——このひとつのサイクルを区切りよく数えるために、閑散期の7月を年度の頭に置いています。
新潟のような雪国の蔵は、まさにこのリズムで動いています。冬が本番になる理由は別の記事「寒造り」で詳しく書く予定です。
選びに効く読み方
- 今年度のBY+「新酒」「しぼりたて」 — フレッシュで若々しい味わい
- 前年度のBY — ひと夏〜1年寝て、味が落ち着いた頃。「ひやおろし」はこの典型です
- 数年前のBY — 熟成酒。琥珀色と深いコクの世界
同じ銘柄でBY違いを買って飲み比べると、時間という調味料の効きがよくわかります。ラベルの他の数字は「ラベルが読めると、酒選びは楽しい」で。地酒専門店なら「今飲みごろのBYはどれ?」という粋な質問にも答えてくれます。
BYと味の関係・早見表
| ラベル表記 | 意味 | 味の傾向 |
|---|---|---|
| 今年度BY+新酒 | できたて | フレッシュ・荒々しい |
| 前年度BY | 約1年熟成 | 味が乗って飲みごろ |
| 2〜3年前のBY | 熟成酒の入口 | コクと複雑味 |
よくある質問
Q. BYが書いていない酒が多いのはなぜ?
A. 表示義務があるのは「製造年月」(瓶詰め時期)だけで、BYの記載は蔵の任意だからです。こだわりの蔵ほど書いてくれる傾向があります。
Q. 製造年月とBYはどう違う?
A. BYは「いつ造ったか」、製造年月は「いつ瓶に詰めたか」。タンクで2年寝かせて今月詰めた酒は、製造年月は新しくてもBYは2年前になります。熟成を読むならBYです。